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Vol.36 燃料電池の話①

いよいよ一般販売が始まった家庭用燃料電池。水素と酸素の化学反応で電気と熱を作り出すクリーンな動力源です。アキュラホームでも家庭用燃料電池エネファーム搭載住宅を1500万円を切る価格で販売を始めました。今回はこの燃料電池の基礎知識についてご紹介しましょう。

原理は水の電気分解の逆

子供のころに学校で実験した「水の電気分解」は、水に電気を通して水素と酸素の泡を発生させる化学反応でした。燃料電池の原理は簡単にいえばその逆、水素と酸素を化学的に反応させて、電気(と副産物の熱)を取り出す反応です。燃料電池は、中心にある「電解質」を燃料極と空気極の2つの電極で挟んだ構造をしています。電解質は電子を通さず、イオンのみを通すので、通れない電子が外部の回路を流れ、発電する仕組み。ですから、電池とはいっても電気を貯めるのではなく、水素と酸素のもつ化学エネルギーを直接的に電気エネルギーに変える一種の発電機なのです。従来は宇宙船の動力源や商業発電に利用されていましたが、地球環境問題、エネルギー問題の有効な解決策のひとつとして、自動車や家庭用燃料電池の開発が急ピッチに進んでいるのです。

エネルギー効率はなんと80%

燃料電池は従来の発電機に比べてエネルギー効率が高いのが特長。従来の発電機は、燃料を燃やした熱で水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回して発電するので、化学エネルギーを熱エネルギー、運動エネルギー、さらに電気エネルギーへと3段階に変換し、さらに送電線で家庭へと送る各過程で60%以上のエネルギーが排熱などの形で利用されずに捨てられていました。これに対して燃料電池は、化学エネルギーから直接電気エネルギーを得るため、ロス自体が少なく、さらに家庭用の「エネファーム」では、そのロス=排熱の多くをその場で給湯に利用できるため、燃料が持っているエネルギーの約80%まで有効に活用できるのです。

純粋な水素を使えばCO2が発生しない

燃料電池のもう一つの特長は、発電過程でCO2(二酸化炭素)をほとんど発生しない点です。もし、純度100%の水素を燃料にすれば、CO2は全く発生せず、出るのは水だけ。しかし純度100%の水素は作るには余計なコストがかかるのと、保存が難しいため、家庭用燃料電池では、都市ガスや灯油、プロパンガスなどの化石燃料から純度の高い水素を取り出し、燃料として利用しています。

化石燃料から水素を取り出す過程を「改質」といい、高温で水や酸素を混ぜて水素を取り出します。実はその際にCO2や微量なCO(一酸化炭素)、NOX(窒素酸化物)などが発生するのです。それでも、火力発電による電力と従来型給湯機を使用する家庭に比べて、家庭用燃料電池を使っている家庭では約45%のCO2削減効果があり、年間のCO2削減量は約1500kgにもなるそうです。

燃料電池の主なタイプは5種類

燃料電池は、「電解質」の種類によって、5つに分かれます。中でも「固体高分子形」は作動温度が70℃から90℃と低く、排熱をそのまま利用しやすい、小型化しやすいという特徴があるので、家庭用や自動車用の燃料電池として利用、開発がすすめられているのです。また、「固体酸化物形」は電極に高価な貴金属が必要ない、理論的な発電効率が最も高いというメリットがあるので、次世代以降の家庭用燃料電池として期待されています。

原理は200年以上前に発見された

燃料電池の原理を発見したのは英国王立科学研究所のハンフリー・デービー博士。今から200年以上前の1801年のことです。当時の日本は江戸時代後期で、小林一茶や伊能忠敬が活躍した時代でした。そして1839年、同じく英国人の裁判官であり、発明家でもあったウィリアム・グローブが燃料電池の原型になる装置を発明しました。しかし、この装置は出力が小さかったために実用的とは言えず、内燃機関に押されて、普及発展することはありませんでした。

それからほぼ1世紀の後、1959年にまたもや英国のフランシス・ベーコンが現在の燃料電池の原型を開発。翌年から米国が宇宙船の電源として開発を進めることになります。副産物が水と熱だけというクリーンな電源であり、その水が飲用水に利用できるために注目されたのです。1965年にはジェミニ5号に搭載されて初めて宇宙に進出。その時使用されたのは、一般販売が始まった家庭用燃料電池と同じタイプの「固体高分子形」でした。ちなみにその後のアポロ宇宙船やスペースシャトルでは、燃料に純度100%の水素を使う「アルカリ形」が使われています。

1981年になると、日本でも石油代替・省エネルギー技術の開発を目指す通産省の「ムーンライト計画」に燃料電池が組み込まれて、研究開発が活発化。その後、2005年から2年間の全国的な実証テストを経て、今年から一般向けの販売が始まったのです。

次回は家庭用燃料電池の利用法や補助金などについてご紹介します。

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