Vol.33 干支の話

干支とはともに古代中国の数の数え方である十干と十二支を組み合わせたもの。昔から暦や占いなどと深く関わっています。今回はそんな干支にまつわるあれこれです。
10進数と12進数の融合
大昔の中国では、太陽の巡りを数えるための数詞に「十干(じっかん)」が使われていました。万物は木・火・土・金・水の5元素から出来ているという五行説に、物事は陰と陽のバランスで成り立っているという陰陽説が掛け合わさって「十干」。1ヶ月を上旬、中旬、下旬と10日ずつに分け、その10日を単位にしたものです。
一方、「十二支」は、約12年で天球を一周する木星の位置を示すために天球を12の区画に分けて名前を付けたのが由来です。これが1年の月の数と同じなので月を表すことにも使われるようになり、時刻や方位の表示にも用いられるようになりました。いってみれば10進法の十干と12進法の十二支が合体してできたのが「干支」。10と12の最小公倍数である60で一回りするので、60歳を「還暦」と呼ぶのです。
十二支の動物たち
「十二支」を表す子、丑、寅などの文字は、元々は動物とは無関係でしたが、一般大衆に親しみやすいように、よく知られる動物を当てるようになったとか。十二獣が選ばれた経緯ははっきりしませんが、昔話ではこんな話が広く知られています。
“大昔のある年の暮れ、神様が動物たちにお触れを出した。
「元日の朝に新年の挨拶に来い。一番早く来た者から12番目までは、順に1年間、動物の大将にしてやろう」
動物たちは張り切って元日が来るのを待っていたが、猫は神様のところに行く日を忘れてしまった。ネズミに訊くと、ネズミはわざと1日遅れの日を教えた。元日、牛は「歩くのが遅いから一足早く出かけよう」と、まだ暗いうちに出発した。これを見ていたネズミはそっと牛の背中に飛び乗る。牛が神様の御殿に到着すると、まだ誰も来ていない。ところが門が開いたとたん、牛の背中からねずみが飛び降りて、1番になってしまう。牛は2番、続いて虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪の順に決まった。騙されて1日遅れで行った猫は今でもネズミを恨み、ネズミを追い回すのだとか”
この類話は中国、モンゴル、中央アジア、朝鮮半島、ロシア周辺にも伝わっていて、ほとんどが「猫とネズミが敵対することになった話」か「ネズミが牛に乗っていって1番になる話」だとか。ネズミは十二支1番のヒールのようです。騙された猫は可哀想ですが、チベット、ベトナム、ベラルーシなどの十二支には猫がちゃんと含まれています。弾かれたのはいずれもウサギ。ウサギの運命を想像すると、ちょっと恐ろしいかも……。馬が蛇よりも遅いあたりにも、大きなドラマが隠れているような気がしますね。
子午線の対義語は卯酉線
十二支は方角を指す単位にも使われますね。子の方角は北、卯が東、午が南、酉が西。子(北)と卯(東)の間に丑と寅があるので、丑寅の方角といえば東北を差し、卯(東)と午(南)の間には辰と巳があるので、「たつみ」といえば東南を差します。同様に南西は「ひつじさる」の方角で、北西は「いぬい」です。また、地球の南北を結ぶ線を子午(しご)線というのもここからきています。ちなみに、東西を結ぶ線にも十二支が関係しています。そう、卯と酉を結ぶので卯酉線(ぼうゆうせん)というのです。
丑年はどんな年になる?
今年は干支で己丑(つちのとうし)にあたりますが、どんな年になるのでしょう。振り返ると、12年前の1997年には「オレンジ共済」が破綻し、証券大手の山一證券が自主廃業。秋田新幹線「こまち」が誕生しました。ペルー日本大使公邸占拠事件や神戸の「酒鬼薔薇」事件が起こり、香港が中国に返還されています。またダイアナ元皇太子妃が事故死し、マザー・テレサが亡くなった年でもあります。明るい話題では北野武監督の「HANA-BI」がベネチア国際映画祭で金獅子賞受賞。サッカー日本代表が延長VゴールでW杯出場を決める「ジョホールバルの歓喜」もありました。
さらに遡ってちょうど60年前の昭和24年には下山事件、三鷹事件、松川事件など、戦後の闇といわれた事件が多発。湯川秀樹京大教授にノーベル物理学賞が贈られ、プロ野球がセパ両リーグに分裂。美空ひばりの「悲しき口笛」、「銀座カンカン娘」などがヒット。1ドル360円時代が始まりました。
今年も旧商工ファンドが経営破たんし、「おくりびと」「つみきのいえ」がアカデミー賞をダブル受賞するなど、12年前とちょっと似ているような。この分ならサッカー日本代表もW杯出場を決めてくれそうな気がしますね。
最後に丑の年生れの性格は、長所 としては「辛抱強くて押しが強く、才気に溢れて正直者」。短所 としては「負けず嫌いで偏屈。短気で強情者」だとか。いかがでしょう、思い当たるフシはあるでしょうか?






