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アキュラ通信

Vol.31 屋上緑化の話②

屋上緑化の話の続きです。今回は壁面緑化も併せて、屋上緑化の効果と注意点をご紹介します。

屋上庭園と緑化屋根

屋上緑化には2種類あります。オフィスビルやデパートなどの屋上に高木をあしらった庭園や畑、水田などを作り、そこで人々がくつろげるようにした「屋上庭園」と、屋根の上に軽量な土壌を薄く載せ、芝やセダムなどの多肉植物、コケ類などを植えただけの「緑化屋根」の2つです。一戸建ての個人宅や多くのマンションなどで採用されるのは「緑化屋根」が一般的です。また、「壁面緑化」はさらに応用範囲が広く、今後普及が進めば、都市の景観や環境を大きく変える効果が期待できます。

屋上緑化の断熱効果

屋上緑化の効果として、よくいわれるのが都市のヒートアイランド現象を軽減できるという点です。このヒートアイランド現象の原因には、
① コンクリートやアスファルトが太陽熱を蓄積する
② ビルのクーラーなどから熱が排出される
③ 自動車のエンジンなどからも熱が排出される
④ 緑地や水面の減少で地表から蒸発する水分が減少し、奪われる気化熱が減る
⑤ 放射冷却した熱の一部がビルに再吸収される
などが上げられ、これらが複合的に影響しあっているといわれています。

都心のオフィスビルやデパートなどに屋上庭園を作ると、植物が影をつくり、人工の土壌基盤が断熱材の役割を果たして太陽の熱を遮り、さらに土壌と植物から蒸発する水分の気化熱によっても冷やされます。そのため、まずコンクリートに蓄積される熱が減少。さらに、クーラーの設定温度が下げられるので、室外機からの排熱も抑えられるのです。

屋上緑化はコストがかかる

しかし、屋上庭園にはコスト増と耐震性の減少、水資源の確保の問題など、いくつかの注意点もあります。屋上庭園を造るには新たな防水工事と造園工事が必要ですし、増加する屋上の重量を支えるため、躯体の補強工事が必要な場合もあります。また、建物は屋根が軽いほど耐震性が高く、その意味で屋上庭園を設けることで耐震性を下げる怖れもあるのです。

もうひとつ、樹木や芝生などには定期的な散水が必要ですから、その水をどう確保するかも問題です。水道水ではコストがかかるし、夏場の水不足の引き金にもなりかねません。合併浄化槽などで処理した中水や雨水を利用する場合でも、屋上までポンプで揚げる電力が掛かり、環境負荷は増えてしまいます。

そのため、水遣りの必要がないセダムなどの多肉植物やコケ類を敷き詰める「緑化屋根」が普及してきています。これらは真夏の強い日光の下、気温が上昇すると「呼吸」を止めて休眠してしまうので、蒸散効果は期待できません。しかし、一定の断熱効果は発揮します。

癒しの空間を作り出す効果

実は、ビルなどの屋上の断熱は、植物でなくても、断熱材や遮熱塗料などでも実現でき、単純に断熱効果だけを考えれば、そちらのほうが経済的です。しかし屋上緑化は、もっと大事な効果があるのです。

それは、植物を見ること、植物に触れることが人の心に与えるリラックス効果です。窓の無い部屋で単純計算などの作業をするグループと、窓から植物が見えるグループでは後者のほうの正解率が高く、病院でも植物が見える病室に入院している患者のグループ方が苦痛を訴える頻度が少なく治癒が早いなど、植物が人に与える癒しの効果は確かに存在します。緑地の極端に少ない都市部では、屋上庭園を作り、建物の壁面を緑化することが大きな意味を持ってくるのです。

一戸建てでは壁面緑化に防火防災効果

住宅の大半を占める木造瓦屋根の一戸建ての場合は、屋上緑化はなかなか難しい面があります。最近は瓦本体にコケ類をセットした商品も発売されていますが、屋根の上に新たに土壌基盤と植物を載せることは、重量やデザイン、コストの面で一般には難しいでしょう。そこでお勧めしたいのが「壁面緑化」です。壁面をヘデラなどのツル植物で覆うことで冷房負荷の低減につながり、周辺環境への熱の照り返しを防止する効果も期待できます。もちろん緑の癒し効果も同様です。ちなみに名古屋市の千種文化小劇場は8種類のツル植物で壁面緑化した建物として知られていますが、ツル植物は成長が早く、約2年でほぼ全面が緑に覆われています。

さらに、木造住宅の壁面緑化には防火防災面の効果があります。ツル植物などで壁面が緑化されていると、近隣の火災の際に、植物に含まれる水分が延焼をかなり防いでくれるのです。また、木造住宅によくあるモルタル壁は大地震の際に剥がれ落ちて、歩行者が怪我をしたり、木の下地板がむき出しになって延焼する危険性が高いのですが、これも壁面緑化で軽減できます。

壁面緑化は屋上よりも人目に触れやすいので、都市の景観美化にも一層役立ちます。費用も安く、DIYで施工することも難しくありません。屋上は難しいけれど、緑化には興味があるという方は、一度検討してみてはいかがでしょうか?

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