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アキュラ通信

Vol.30 屋上緑化の話①

地球温暖化対策の一環として、都会のヒートアイランドの防止を主な目的にした屋上緑化が、次第に普及し始めています。今回はその歴史を中心にご紹介しましょう。

癒しと権力の誇示を狙った古代の屋上庭園

建物の屋上を緑化した最初の例は、今から2700年ほど前に古代メソポタミアに建てられた階段型ピラミッドといわれています。階段状のテラスには高木や灌木が植えられて庭園のように整えられていたそうですが、どうやって水を運び上げていたかは分かっていません。

史上もっとも有名な屋上庭園は、古代の世界七不思議のひとつ、『バビロンの空中庭園』でしょう。これは新バビロニア王国(BC700年~)のネブガドネザル2世が王宮に築いたもので、イランから嫁いできた王妃が故郷を懐かしんでいるのを慰めるため、緑豊かなその景色をテラスに再現しようとしたのだとか。空中庭園といっても宙に浮いていたわけではありません。庭園は5段のバルコニー状をした高さ25メートルほどの建造物で、各バルコニーには池や大型の花壇があり、多彩な植物が植えられていたそうです。おそらく、池にはハスの花が咲き、イチジクやザクロ、バラの木が繁り、花壇にはイラン原産のチューリップなどが植えられていたのでは?なかなか居心地のよさそうな庭園ですね。

1519年にコルテスに征服されたアステカ王国では、屋上庭園は有力者の住宅のプランに取り込まれて、より一般的に普及していたようです。スペイン王チャールズ1世に送った手紙には、『平屋建て、または2階建ての住宅の屋上にフラワーガーデンが造られている』という内容が書かれていたそうです。 これらの例は、緑の持つ癒しの効果を住環境に取り込む目的と、それができる権力を誇示する狙いで作られた屋上庭園といえるでしょう。

寒さ対策だった欧米の屋根緑化

一方、断熱材としての効果を狙って屋根の上に土を載せ、草植物を植える住宅が19世紀ごろまでのノルウェイやアメリカ合衆国の田舎ではよく見られました。近代的な暖房システムが普及するまでは、冬の極寒を和らげるために土を屋根に置き、それを固定するために芝などの草植物を植えたのです。そもそもは土が主役だったわけですが、屋根に花の種を蒔き、その花開く春を楽しむというルーフガーデニングも盛んだったようです。土はかなり重量がありますが、当時の家は頑丈なログハウスだったので、土の重さで家が崩れる心配はありませんでした。

日本の屋上緑化は西洋化から

日本では台風や雨が多いという気候的な条件もあって、屋上緑化の歴史はほとんどなく、近代になって西洋建築とともに普及してきました。現存する屋上緑化の代表的建築物では、昭和10年完成の『朝倉彫塑館』(台東区)が有名です。高村光太郎と並ぶ大彫刻家、朝倉文夫の私邸兼アトリエで、「自然に触れることが芸術の基本」と考えていた朝倉は、その屋上に菜園を作ったのです。日本初の屋上緑化ともいえるその菜園にはオリーブの木が植えられ、野菜や東洋ラン等が育てられていました。現在は花壇となり、一般公開されています。

昭和30年代後半に本格化した屋上緑化

屋上緑化が本格的に行われだしたのは昭和30年代後半から。大都市の緑が失われてゆくことで都市の環境としての緑の重要さが注目され、公共施設や商業施設に取り入れられるようになりました。渋谷区の宮下公園、日本橋高島屋の屋上庭園などが有名ですが、これらは緑の持つ癒しの効果を建物に取り込むことが目的の緑化で、最近のヒートアイランド対策、省エネ対策の一環としての屋上緑化とは異なり、建物の断熱効果や冷却効果などを考えたものではありませんでした。

次回は屋上緑化の具体的な効果や問題点をご紹介します。

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