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アキュラ通信

Vol.21 畳の話

畳は、中国、インド、朝鮮などからの渡来品ではなく、日本人が稲作文化の中で独自に生み出し、発展させてきた伝統的な敷物。最近は健康的で快適な住宅設備として、海外での評価も高まっています。その歴史や種類、手入れの仕方や効能などを見てゆきましょう。

畳の歴史

畳の歴史は古く、古事記の中に「皮畳」、「絹畳」、「菅畳」の記述が見られます。また、正倉院には聖武天皇と皇后が使用した「御床畳」(ごしょうのたたみ)も残されています。薄いムシロを5、6枚重ねた畳床に、イグサの表が張られ、錦の縁かがりがされているもので、これを2台並べ、ベッドのようにして使用していたようです。

平安時代になると厚みがさらに加わり、規格化も進められ、貴族の階級によって使える大きさや縁の色が定められました。貴族が住まう寝殿の板の間に寝具として、あるいは座布団の代わりとして、家中のあちこちに置かれていたそうです。鎌倉時代には、それまで必要な場所にだけ置かれていた畳が部屋全体に敷かれる様式が定着します。日本固有の座り方である正座も、畳が部屋に敷き詰められるようになって誕生したものといわれています。

安土桃山時代から江戸時代にかけて茶道が発展すると、町人の家にも畳が使われはじめます。江戸時代には、畳自体が重要な建築物の要素と考えられるようになり、役職として畳奉行が生まれています。これが町民に普及するのは江戸時代中期を過ぎた頃。長屋では畳は元から敷かれてはいなくて、長屋を借りる者が自ら畳を用意しました。それまでの畳は野生のイグサを使っていましたが、本格的にイグサ栽培が始まり、江戸時代後期には畳職人、畳屋という職業も確立。庶民の家にも普及していきます。しかし、農村に畳が普及するのは明治時代に入ってからのことです。

現代では和室を作らない様式の家も増えていますが、畳の優れた機能や快適性が見直され、平安時代のように敷物として数枚の畳をフローリングの上に置くスタイルが復活しつつあるようです。

畳の構造

畳は芯の部分にあたる畳床(たたみどこ)と、表面の畳表(たたみおもて)と畳の縁でできています。

伝統的な畳床には稲ワラが使われます。30kgを越すワラを約40cmの厚さに縦横に並べて積み重ね、糸で締めて5cmまで圧縮してつくられるもので、断熱性や吸湿性、難燃性、空気清浄効果などの優れた特性を持っています。半面、湿気には弱く、水で濡らさない、半年に一度干すなどの注意が必要です。

最近ではワラ以外の材質が主流を占めるようになりました。稲ワラサンドイッチ畳床は、ポリスチレンフォームやインシュレーションボード(木質パルプを固めた板)を、乾燥した稲ワラで挟んだ畳床です。軽くて保温性に優れ、ダニも発生しにくく、手触りも稲ワラの畳床にかなり似ています。建材畳床は、インシュレーションボードを2、3枚重ねにしたり、ポリスチレンフォームを挟み込んだりした畳床で、稲ワラは使用しません。軽い上にコストが安く、マンションやアパートによく使われています。断熱性があり、水を吸収しないのでダニが発生しません。

ちなみに現在、新畳の畳床は建材畳床が7割、稲ワラサンドイッチ畳床が2割、伝統的な稲ワラ畳床が1割といわれています。

畳表は、材料のイグサを横に、麻の糸を縦糸にして織られていて、等級もイグサの種類によって分類されます。使われるイグサの量は畳1畳でおよそ4000~5000本。高級な畳になると7000本のイグサが使用されます。畳表は裏返したり取り替えることができます。

畳縁は畳の長辺に補強のためにつけられる布のことです。材質はもちろん、柄や色のバリエーションは数千にものぼり、畳店で選べます。この畳縁がない琉球畳も最近は人気が高まっています。

畳のバリエーション

琉球畳は縁がなく、大きさも通常の半分のサイズで正方形をしています。普通の畳に比べて畳の目が細かいのが特徴です。本来は強度のある沖縄産のイグサでつくられますが、最近では普通の畳表を使った縁なし正方形の畳も琉球畳と呼ぶことが多くなりました。

畳表を化学繊維で作ったカラー畳は、カラーバリエーションが豊富で、イグサの畳よりも傷みにくく、水拭きもできるので、小さい子供やペットがいる家庭でも安心して使える畳です。畳と同じ織り方で作られ、畳縁もついていて、ビニールのような質感もありません。日焼けによる色あせも少なく、長く使えます。

畳のサイズ

畳は、地域別や敷かれる場所によって5種類のサイズがあります。

  • 「京間・本間」は6尺3寸×3尺1寸5分(191cm×95.5cm)で、京都をはじめ関西方面で普及しています。
  • 「六一間」は6尺1寸×3尺5分(185cm×92.5cm)で、岡山、広島、山口などの山陰地方で普及しています。
  • 「中京間」は6尺×3尺(182cm×91cm)。岐阜、名古屋をはじめ中京地方をメインに、岩手、山形、福島、北陸、沖縄の一部の地方で使われます。
  • 「江戸間」は5尺8寸×2尺9寸(176cm×88cm)。関東地方と全国各地で使われ、関東間、田舎間とも呼ばれます。
  • 「団地間」は5尺6寸×2尺8寸(170cm×85cm)。アパートやマンションなどで使われているのがこれです。

一口に畳一畳といっても、サイズは本当にまちまち。京間と団地間では長さ21㎝、幅10.5㎝、面積で25%以上も違うのです。

稲ワラ畳の手入れ

ワラで作った畳表が日焼けしたときは、取り外して裏返しにします。裏返しの目安はおよそ3年から5年。また、軽い日焼けの場合には、お湯で5倍に薄めたお酢を使って拭いても効果があるそうです。雑巾を浸し、かたく絞って畳の目に沿って拭き、その後乾拭きします。

畳の上に直に家具を置いて跡がついてしまったときは、熱めのお湯で絞ったタオルをあてて、その上からアイロンをかけるとワラがふくらみ、ある程度元に戻ります。その後はドライヤーや扇風機を使って早めに乾かしましょう。

畳についた焦げ跡は、ティッシュペーパーにオキシドールを含ませて軽く叩きましょう。焦げ跡が漂白されて目立たなくなります。

ワラの畳床の畳は湿気に弱い特長があります。できれば半年に1回、少なくても年に1度は床から外して日に当て、風にさらして湿気を追い出しましょう。

海外で評価される稲ワラ畳

稲ワラの畳には、1畳で水分500ccを吸い取り、さらに乾燥してくるとその水分を放湿するという力があります。また、1時間で和室の空気中の二酸化窒素の90%を吸収する力があるともいわれています。動力を使わずに働く空気清浄機のような働きを持っているのです。さらに肌触りや香りの優しさを含めて、人に優しい住宅設備として、海外では非常に高い評価を得ているようです。

価格が高く、手入れの手間がかかる面がありますが、フローリングの上に置き畳として使ったり、畳ベッドとして利用するだけでも稲ワラ畳の健康効果は期待できます。完全に洋風の家でも、どこかにワンポイント使ってみると、意外に快適かもしれませんね。

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