Vol.16 住宅の性能表示の基礎知識

最近よく耳にする住宅の性能表示。気になるけれど、どんな基準で作られていて、どんな意味があるのかはよくわからない。そんな人のために、耐震性、気密性、断熱性、そしてホルムアルデヒド放散量という4つの指標を読み解くための基礎知識をご紹介します。
耐震性は関東大震災が基準
2000年秋にスタートした住宅性能表示制度の10項目の中でも、とくに気になるのが「耐震等級」です。これには「構造躯体の倒壊防止」と「構造躯体の損傷防止」の2種類があります。「構造躯体の倒壊防止」とは、数百年に一度の大地震が起こす揺れに対して、外壁や窓などは損傷するかもしれないが、建物の構造自体は潰れないで残る耐震性を持っていることを示す目安です。数百年に一度の地震の揺れとは、地域によっても違いますが、東京の場合は関東大震災の震度6強から7を想定しています。地震の揺れの激しさを表す指標「ガル」では400ガルです。ちなみに震度6強は「立っていることができず、這わないと動くことができない」で「固定していない家具のほとんどが移動・転倒する。戸が外れて飛ぶことがある」という烈震にあたります。地震についてはアキュラ通信Vol.4でも取り上げていますので、こちらもどうぞ。
東京では、耐震等級1は「関東大震災の揺れ(400ガル)で建物が潰れない」、等級2は「関東大震災の1.25倍(500ガル)でも潰れない」、等級3は「1.5倍(600ガル)でも潰れない」という意味で、ちなみに等級1は建築基準法が定める最低限の耐震強度と同じレベルです。何故、その建物が関東大震災の1.5倍の揺れで潰れないのかという判断は、新築住宅の場合は地震の力を元に実際に構造計算するか、建物を支える耐力壁の量などを細かく定めたリストに該当する程度によって判定されます。地盤や屋根の重さなどによって建物が揺れる程度が変わりますから、実際に構造計算してもらうほうが安心だといえるでしょう。
ちなみにアキュラホームの「新世代ハウス」は最高等級を取得。実物大実験では関東大震災の神戸海洋波(800ガル)にも耐える安全性を確認してます。もう一つの「構造躯体の損傷防止」の等級1は、数十年に一度程度発生する地震が起こっても、大規模な修繕工事が必要なほどの損傷が発生しないという意味。東京の等級1は震度5強程度(100ガル)。等級2はその1.25倍(125ガル)、等級3は1.5倍(150ガル)の揺れでは大きなひび割れなどの損傷が発生しないという意味になります。
住宅の気密性を表す「C値」
住宅の気密性を表す基準が「C値」=「相当隙間面積」です。これは住宅の延床面積1㎡に対して何c㎡の隙間があるかを示しています。延床面積140㎡の住宅がC値=1だとしたら、建物全体では140c㎡の隙間があるということ。この住宅のすき間をひとつにまとめると、12㎝×12㎝よりやや小さい正方形になります。2×4工法やその他のパネル工法では、C値=2前後が一般的です。欧米の住宅並みの省エネ性能を目指して施行された次世代省エネルギー基準では、北海道・青森・岩手・秋田の4道県がC=2以下、東京も含めた他の地域では 5以下と定められています。現在、高気密をセールスポイントにしている住宅では、C=2以下の商品も出てきています。
C値は、気密測定用の大型ファンで建物内の空気を外に出して計測します。隙間が大きいと、抵抗なく同じ量の空気が室内に流れ込んでくるので、室内の気圧に大きな変化はありません。隙間が小さい場合は、外に出したのと同量の空気が入れないため室内側の気圧が低くなります。この関係を利用して、「隙間の面積を計算するのです。
住宅の省エネルギー性能は「Q値」、各部分の断熱性能は「K値」
「Q値」=「熱損失係数」は建物全体の省エネルギー性能を示しています。天井、壁、床など住宅の各部分と換気によって逃げてゆく熱量=キロカロリーを合計して、延床面積で割ったもので、値が小さいほど省エネルギー性能が高いことを示します。Q値は計算が複雑なので、専用ソフトで計算することもあります。Q値を使って必要な暖房設備の出力を計算することもできます。Q=2.7で延床面積100㎡の住宅を、外気温0度のときに室温20度に保つには、2.7× 100×(20-0)=5400キロカロリー(1時間あたり)の出力が必要です。
「K値」は、住宅全体の省エネルギー性能ではなく、壁、床、天井など各部分の熱の伝わりにくさを示す断熱性能を表し、数値が小さいほど高い断熱性能を表します。「K値」は、室内と屋外の温度差が1 度の時に、1㎡当たりで1時間に逃げてゆく熱量です。屋根の「K値」が0.5で、室内外の温度差が20度あると、1時間で1㎡あたり10キロカロリーの熱が逃げてゆくことに。屋根が50㎡あれば、全体としては500キロカロリーという計算になります。K値は一般的にはほとんど断熱材の種類、厚みで決まってきます。
- ※熱量の単位は工学単位系(m・kgf・kcal/h)を用いています。
F☆☆☆☆はホルムアルデヒドだけの放散量
シックハウス症候群の原因物質のひとつとみられるホルムアルデヒド。建材からのその放散量を示す目安が「F☆」マークで、☆が多いほど放散量は少なくなります。F☆は平均5.0mg/l(リットル)で最大7.0mg/l。F☆☆は平均1.5mg/lで最大2.1mg/l。F☆☆☆は平均0.5mg/lで最大 0.7mg/l。最上級のF☆☆☆☆は平均0.3mg/lで最大0.4mg/lを示しています。数値は「デシケーター法」という方法で測定したもので、これは水を張った密閉容器に一定量の材料を入れ、溶け出したホルムアルデヒドの量を測定します。単位の「mg/l」は、水1Lに何mgのホルムアルデヒドが溶けているかを示していますが、この数値からは建材の単位面積あるいは単位体積当たりの空気中への放散量は、直接的にはわかりません。あくまで「含有量が少ない」という傾向が分かる指標と思ってください。
シックハウス症候群は実際の発症メカニズムが分かっていないだけでなく、ホルムアルデヒドの許容量もひとそれぞれ。さらにトルエン、キシレンなど他の揮発性有機化合物も原因と見られています。F☆マークはホルムアルデヒドの放散量だけを表したものではありますが、F☆☆☆☆の建材を使うほうがよりシックハウス症候群になりにくい、といえるでしょう。






